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黒魔道会非公式応援ブログ(仮)について

【当ブログへお越しの皆さまへ】

黒魔道会こと東北大学クロースアップマジック同好会OBがマジックに関して色々書くブログです。

東北大学クロースアップマジック同好会とは切り離された形になりますが、特に変わることなく今まで通りに更新する予定です。

内容は主にマジック商品のレビューやちょっとしたコラム、マジック関連イベント等の感想etc...になると思います。

よろしくお願いします。


【黒魔道会関係者へ】

2018年2月19日をもちまして、当ブログは東北大学クロースアップマジック同好会のものではなく、立ち上げ人、せぶんの私物となりました(卒業記念品として頂戴しました)。

私物化にあたって過去の記事を全て削除しようと考えましたが、読み返していたら懐旧の情に駆られてしまったため、とりあえずサークル活動記録のカテゴリにした上で限定公開という形で残してあります。黒歴史もありましたが、それも含めて我々の思い出ということで。今後下書きに移動する可能性はありますが、削除する気はありませんので読み返したい方はご一報ください。また、読み返していて良い内容だと思ったものは公開することがありますがご容赦ください。

私物化はしましたが、サークル関係者が何か書きたいと思ったときに更新できる場として残していきたいと考えていますので、ブログを更新したいという方は何らかの方法でせぶんまでご連絡ください。

よろしくお願いします。
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Seven Scenes Vol.2の販売について

こんにちは。せぶんです。

お待たせしたかどうかはわかりませんが、『Seven Scenes Vol.2』が出ます!
『Seven Scenes』を購入した方はもちろん、そうでない方も楽しんでいただけると思います。
レギュラーカードのみでできる手順7作品が収録されて3000円です。

作品集『Seven Scenes Vol.2』の購入は下記のサイトからできます。
 https://gumroad.com/l/OsxUf

そして今回は新しい試みとして、作品のばら売りをします。1作品500円で購入いただけます。ばら売りに踏み切った理由は2つあります。

1つ目は、無名のアマチュアのレクチャーノートに3000円も出すのが怖いなという方のためです。まずは1つ、2つ購入していただいて、内容に納得していただいた上で作品集を買ってもらいたいと考えています。7作品全部ばらで買うと3500円になってしまいますが、作者の方まで連絡いただければ、既に購入した分を値引きした代金で作品集本体を買えるURLを差し上げます。つまり、いかなる状況でも3000円で全作品を購入できます。もちろんこの手続きは両者にとって手間なので、僕のことを信用してくださる方は、作品集の方を買っていただけると助かります。

もう1つは、特定のジャンルにのみ興味のある方のためです。僕は一時期、ホフジンサー・エース・プロブレムの魅力に取り憑かれていた時期があるのですが、ホフジンサー・エース・プロブレムのバリエーションが載っている資料を集めようとすると、お金がいくらあっても足りませんでした。こういった特定のジャンルに興味がある方はその作品だけを買って安く済ませられるようにしています。あとは、全作品欲しいけど本当にお金がないという方でも、とりあえず今買える分だけ買うといったことが可能になっています。

それでは各作品を簡単に紹介します。各タイトル横のURLからトリック単品で購入できます。

1. Welcome to Waikikihttps://gumroad.com/l/tNgda
観客がよく混ぜたカードから 1 枚カードを選んで覚えてもらいます。そのカードをデックの中に戻し、さらにバラバラにシャッフルします。この状態から演者は観客が選んだカードを見つけ出します。

某原理を僕なりに調理したものになります。何も知らされなければマニアでも騙されるかもしれません。原理好きな方におすすめです。

2. Twin Peakshttps://gumroad.com/l/QcpEJ
2枚のカードが選ばれデックの中に戻されます。4枚のAにおまじないをかけると、1枚目のカードと同じスートのAがひっくり返ります。デックにおまじないをかけると、1人目の選んだカードがひっくり返って現れます。2人目も同様に進めますが、最後にAと観客のカードの位置が入れ替わって現れます。

過去に何回か発表の機会をいただいているホフジンサー・エース・プロブレムです。正直手法の面ではこれを超える作品は生涯作れないのではないかという不安を作者が抱えるレベルで完成されています。今回は付録として、僕が最近愛用しているブラウエのリバースのバリエーションを紹介しています。

3. Wine and Sewage -cheers-https://gumroad.com/l/pEkAC
赤いカードを美味しいワイン、黒いカードを不味い水に例えて、マーフィーの法則に見立てたマジックをします。全てのカードが黒いカードになってしまったところで、演者がおまじないをかけると全てのカードが赤いカードに変わります。最後は魔法が解けて、元の赤いカードと黒いカードに戻ります。

『Seven Scenes』に収録した“Wine and Sewage”をノーエキストラ、エンドクリーンにしました。演じていて楽しい作品になっています。

4. Sympathetic Twist Ver.7https://gumroad.com/l/TPTcvQ
4枚のAと4枚のQを使います。4枚のAのうち1枚を表に向けると、同じマークのQが表返ります。4枚のQを机上に並べて、先ほど表返ったマークとは別のマークのQを表に向けます。Aを確認すると表向きにしたQと同じマークのAが表を向いています。同様に別のQを表返すと、それにしたがって表を向くAが順に変わっていきます。

ゆうきともさんとこざわさんの手順のいいとこ取りをしたツイスティングジエーセスです。こざわさんの“Sympathetic Twist”から発想を得たので、タイトルはそのままで、僕のバージョンということでVer.7を付けさせていただいています。

5. In This Endless Skyhttps://gumroad.com/l/jVsno
2人の観客に赤いカードと黒いカードを5枚ずつ渡してよく混ぜてもらいます。よく混ぜてもらったカードの表を見ずに直感で赤いカードと黒いカードに選り分けてもらいます。確認すると赤だと思ったカードは赤、黒だと思ったカードは黒に綺麗に分かれています。

狙いてんこ盛りのアウトオブディスワールドです。紹介したくてウズウズしていたサトルティが載っています。

6. Miss Resethttps://gumroad.com/l/ceIAfX
4枚のAのうち1枚を裏返すと残りのAも裏向きになります。よくよくカードを確認してみると、裏向きになったのではなく、全てのカードの表が裏模様になっています。このような状況に陥ったときのために、カードにはリセットボタンが付いていると演者は説明します。リセットボタンを押すとカードの表面が戻ってきますが、なぜかAではなくQに変わっています。4枚ともQに変わったところで、演者はリセットボタンの場所を間違っていたことに気づき、押し直すと無事に4枚のAに戻ります。

過去に“The Wrong Reset”という作品を発表しているのですが、それをブラッシュアップしたものになります。“The Wrong Reset”を気に入った方には是非読んでいただきたいです。

7. Hearts Assemblyhttps://gumroad.com/l/qKlT
♡A, ♡2, ♡3, ♡4 を使い、ハートのピプスの飛行現象を見せます。はじめに♡2 からピプスを1 つ掴み取り、机上に伏せて置いた♡A に向かって投げ込むジェスチャーを行うと♡A と♡2 の位置が入れ替わります。もう一度♡A を机上に伏せて置き、そこへ ♡2, ♡3, ♡4 から掴み取ったピプスを次々に投げ入れるジェスチャーを行うと、♡A が♡7 に変化します。

『つぶやきぷろだくしょんRT』に寄稿した作品です。いくつかアイデアを追加して、より演じやすくなっていると思います。奇術研究家の石田隆信さんからも今までになかった現象と高評価をいただいています。


マジックマーケットのオンライン開催が迫っておりますが、その少しの間の皆様の楽しみになれれば幸いです。そして、僕もマジックマーケットで存分に買い物をしたいので是非ご購入よろしくお願いします。

お問い合わせはtwitterまたはメールまでお願いします。
Twitter: @seven_magica
Email: seven.tanabata☆gmail.com(☆を@に変えてください)

『黒魔道会活動記録』裏話

こんにちは。せぶんです。

マジックマーケットお疲れ様でした。本来はもっと早く記事を書くべきでしたが、色々とバタついて書くタイミングを逸しておりました。購入したものもまだ全部は目を通せていないので、感想は随時SNSの方で上げていきたいと思います。売り上げが振り込まれましたので、更新するならこの機会がラストだと思い筆を取りました。裏話というと大袈裟ですが、本作品の狙いや散りばめておいた伏線、いただいた回答などを紹介します。


謎解き型小説を書きたいなと思って書き始めた当初は、シンボルとしての登場人物で完結させる淡白なものを想定していました。『Ethanol Selection』をお読みいただいた方はわかると思いますがあんなイメージです。そのため登場人物を私と先輩と後輩で書き始めたのですが、先輩と後輩が徐々にゲシュタルト崩壊を起こし始めました。あと私視点で描かれる物語なので、先輩呼びは良いですが、後輩のことを後輩と呼ぶのはなんだか変だなとも思いました。そこでSNS上で後輩の名前を募ったわけですが、その時点でダイ・バーノン要素を散りばめようといったアイデアが少しずつ形になり始めていたため、結局出来レースになってしまいました。申し訳ありません。いただいたアイデアの中で一番好きだったのは『仁尾明日香』です。普通にマジック関係ない作品に出てきても違和感のない完成度だと思います。どこかで使いたいですね。皆さんはダイ・バーノン要素をいくつ見つけられたでしょうか。そこまで見つかりにくいものはないと思いますが、一応一番難しいかもしれないところを挙げると、冒頭で私が演じていたマジックはダイ・バーノンの作品です。


本作品は【問題編】を初日に無料で頒布し、翌日に【解答編】を販売する形を取りました。単純にその方が多く売れるだろうという戦略です。この戦略は間違いなく成功したと思いますが、【問題編】は全てのマジケ参加者がとりあえずで買ってくれると思っていたので(半分嘘ですが)、そううまくはいかないという現実を突き付けられました。やはり事前の宣伝や知名度は大事だなと。その代わりに【解答編】の売れた割合は想定よりも高い数値となりました。参考までに言うと【問題編】の約6割です。これは【問題編】を読んで続きが気になった方の割合ですのでとても嬉しく思います。今回、時差販売を快諾してくださったマジックマーケット運営の戸崎さんには改めて感謝申し上げます。


新しい試みとして【問題編】を先出しして、読者に謎解きして回答を送ってもらうというキャンペーンも実施しました。回答者は0人を覚悟していたのですが、ちらほら回答をいただきました。本当にありがとうございます。少しいじわるかなと思っていたワイキキカードロケーションについては回答者全員が正解していました。のんちゃんのセリフに気づいてくれた方も1名いらっしゃいました。その方は手法面で不正解となってしまったのですが、作者としてはとても嬉しかったです。

そして気になる正当者ですが、1名の方が手法について、使っているモノも含めて完全解答してくれました。難しすぎず簡単すぎないラインを攻めたつもりでしたので、喜ばしい結果です。小説だけではこの解答は無理なので、動画をよく見てくれたということでしょう。動画も用意したかいがありました。その方は作者が想定していなかった回答も送ってくれたのでここで紹介します。

『キー(◯◯◯◯を取り上げたの)はのんちゃん』という回答です。

この回答を想定していなかった理由は、初稿では取り上げるのが私だったためです。動画と見た目を揃えるために取り上げる順番を修正した結果そうなりました。あとは手順には関係のない2箇所の回想シーンにヒントが隠されているところが本作品の狙いでもあったため見落としてしまいました。この回答も正解と言って間違いないでしょう。


それ以外に、登場人物の性別に言及してくれた方がいました。お気付きの方もおられると思いますが、本作中で私と先輩の性別は意図的に伏せられています。これには特に深い意味はなく、ただ読んだ人が好きに性別を設定して楽しんでもらえればと思ったためです。ちなみに作者の中では女性ということになっています。しかしその方は、作者の意図しないところからそのことを読み取ってくれました。それはサークル棟の間取りです。サークル棟の間取りにはトイレが1つしかありません。そのことから女性のみか男性のみしか使えないことがわかります。のんちゃんが女性であることからこの大学は女子大ではないかと推理してくれました。

サークル棟の間取りは東北大学に実在するサークル棟の間取りを記憶を頼りに書き起こしたものであり、確かにトイレは1つしかありません。確かにトイレは1つしかないのですが、このサークル棟、実は2階建てなのです。1階が男子トイレ、2階が女子トイレという分かれ方をしています。作品自体に全く関係のない間取りだから1階部分だけでいいかという作者の怠慢が面白い結果をもたらしました。いやー、この感想を見たときには震えましたね。作品を作る面白さはこういうところにもあるのだと思います。その他にも作中キャラクターのモデルについてピンポイントで当ててくる方もいたりなど、最後まで作者本人も楽しませていただきました。感想を送ってくれた全ての方に感謝します。


まともに小説を書いたのは今回が初めてだったのですが、うまいことキャラクターも動いてくれて楽しく書けました。創作の幅も広がったと思うので、これからも思いついたアイデアをガンガン形にしていきたいです。とりあえずは天啓が降ってくるのを待ちます。


マジケ2021春 参加のお知らせ③

こんにちは。せぶんです。

「マジックマーケット2021春」の「東北大学クロマドウ会」ブースの商品紹介その3です。



『黒魔道会活動記録』

黒魔道会活動記録

事の発端は去年のマジックマーケット2020。当ブースで頒布予定だった『Ethanol -Selection-』の中に読者に挑戦するネタが載っていました。そのネタは本作品とは趣旨が異なるのですが、興味のある方は是非今回満を持して販売される『Ethanol -Selection-』をご購入ください。とにかくそれを見た瞬間から自分も読者に挑戦するネタを作りたいと思い始めました。それから1年で完成に漕ぎ付けられたのは我ながらよくやったと思います。

本作品は謎解き型小説です。読者には小説中に出てくるトリックについて解明してもらいます。このトリックは僕が個人的に課した以下の3つの課題をクリアしています。

1. トランプ1つあれば誰でも謎の解明に取り組めること
マジックマーケットはマジシャンが集う場所ですが、他ジャンルから人を呼び込める場所でもあると個人的には思っています。推理小説が好き、パズルが好き、ただ単に頭を使うのが好きといった方もターゲットにしたいと考えています。マジシャンでなくても対等な条件で考えられるように、使うのはトランプ1つだけです。

2. 特殊な技法を用いないこと
特殊な技法は使いません。使うのはマジックにおいて基本とされるカットとシャッフルのみです。知らない方も実演動画で確認することができます。これについてはもちろん1と重複する部分もあります。しかし最大の理由は「ここでエ◯ム◯レ◯カ◯ントを使っていたんだ」とか嫌だなと思ったためです。嫌じゃないですか?

3. 意味深なヒントが出せること
これが一番大事にしたポイントです。1と2を満たすトリックは星の数ほどありますが、意味深なヒントが出せるトリックとなるとなかなかないのではないでしょうか。このポイントについては結構頑張れたと思っているので、ご期待ください。


本作品は【問題編】と【解答編】に分かれています。【問題編】はマジックマーケット2021春にて5月1日に販売開始します。多くの方の手に取っていただきたいという考えで値段は0円です。無料です。【解答編】は翌日2日に販売します。値段は500円です。

今回、戸崎さんに無理を頼んで時間差販売をお願いしています。謎解きを楽しんでもらいたいと思ったためです。そこで、ちょっとしたキャンペーンを行います。見事に本作品の謎を解明してくれた方、先着7名様に【解答編】を無料で贈呈します。マジシャンの方とマジシャンでない方で回答方法が異なりますので下記をよくお読みください。

【マジシャンの方】
作中に出てくる3つのヒントが意味するものを全てご回答ください。

【マジシャンではない方】
作中に出てくる3つのヒントが意味するものを最低2つご回答ください。

ちなみに回答者がマジシャンであるかどうかについてはこちらから積極的には調べません。自己申告でお願いします。

キャンペーン期間:5月1日 12 : 00 〜 5月2日 11 : 30
回答は以下のメールまたはTwitterのDMにお願いします(メールアドレスは☆を@に変更してください)。
メール:seven.tanabata☆gmail.com
Twitter:@seven_magica


雑感:『巨人の肩に触れる 盲学校マジック作品集』

ムナカタ・ヒロシです。最近たいへん面白い本を頂きましたので、それについて書きます。

『巨人の肩に触れる 盲学校マジック作品集』
奥付を見ますとA Bubble Circus 発行、万博 著となっています。数日後に迫ったこのたびの2021年マジックマーケット春にて頒布予定のレクチャーノートです。

どういう顛末でこちらの本を頂いたかと言いますと、著者の万博さんがノートに用いる紙などの仕様を検討する際『52Hz』を参考にしてくださったそうです。そういうわけで私としては献本していただけるようなことをした覚えはなかったのですが、断る理由もありませんしありがたい機会なので是非にと頂くことにしました(それに、マジケで争奪戦になりそうな予感もしますし……)。

さて、初めに言い訳というかひとこと断っておくと、こちらの本、レビューというレビューが書きづらい本になっています。レビューないし批評というのは本来、背景に様々な比較対象があってこそ書きうるものだからです。分かりやすく言うとこの本は、マジックを解説したレクチャーノートに分類されるのですが、そこで設定されているテーマに先例がありません。そのテーマとは「(広義の)目の見えない人に対してマジックを演じる」ということで、著者はこれを「盲学校マジック」と呼んでいます。このような本は、少なくとも日本語で書かれたものや訳されたものの中には存在しないでしょう。他言語の書籍を探しても、まるまる一冊が同テーマに充てられている本となると発見できないかもしれません(私の狭い知見では、その判断はしかねるのですが)。ですからレビューが書きづらいわけです。私にしたって、目の見えない観客に手品を演じるということについて深く考察した経験は正直ありません(もし演じるとするならエキボックを用いた予言あたりか……ということをぼんやり考えたことはありますが)。

つまるところこの本は非常に先駆的な内容であり、コンセプトそれ自体が意義深いものであるのですが、反面それは長い間この分野に光が当てられてこなかったということをも意味しています。手品の歴史が始まって以来ずっと存在していたはずの「目が見えない観客」という対象がこれまで顧みられてこなかったことの証左でもあるでしょう。いずれにせよこの本が書かれ、盲学校マジックに対するおよそ10年の長きにわたる注力と研究の成果を知ることができるということは、ひとまず喜ばしいことです。別の著者による小冊子ですが『カラーユニバーサルマジック』にしろ、こうした方向からマジックを捉えなおした読み物がマジックマーケットという場で個人の書き手によって発表されているということにも何となく感慨を覚えます。

さて、レビューを放棄して投げ出しっぱなしにしてしまうのも何なので、具体的な内容について私に可能な範囲で触れたいと思います。このレクチャーノートは3つの章から構成されていますが、そのメインとされる第2章に具体的な作品たちが収められています。

解説されている最初の2作「爆ぜる結び目」と「スプーン曲げ」で気付くのは、「普段何気なく演じているマジックの中にも、視覚だけでなく体感的な要素は含まれている」ということです。視覚情報を封じられてしまうと、自分が普段演じているようなレパートリーはほぼほぼ全滅だな……と考えていたのですが、スプーンベンディングで曲がる瞬間の感覚を体験させる手法など、確かにこれぞ不思議さを触覚的に感じさせる手法です。
また「チャイナリング」も、先入観からこれは演じられないマジックのひとつだろうと思い込んでいたのですが、きちんと情報を提示しリンキングの感触を味わってもらうことで、演目としてちゃんと成立するとのことです。
「動物占い」はいわゆるラジオ越しに演じられるタイプのマジックを応用したもので、サロンマジックのアイスブレーク的な位置づけで用いられている作品だそうです。オチが一発で伝わるのが良いですね。視覚障害の有無に関わらず、なまじ視覚的なオチより伝わりやすいかもしれません。
「楽器の予言」は楽器という素材によってサロン的なやや広めの会場でも演じることができるように組まれたトリックです。これ1つでショーピースとして成立するように演出まで含めて工夫されています。特にエキボックの流れが丁寧に考えられていると思いました。
「点字トランプを使った即興カード当て」「トランプの予言」は点字トランプというある意味では特殊な道具を使ったマジックの試みです。そもそも点字トランプ自体がマジックに向いていないのではないかと著者本人がいくつかの理由を挙げながら本文中で指摘していますが、それでもカードマジックのリクエストであるとかカードマジックに興味を持ったお客さんに遭遇するケースはあるようで、どのような演目の可能性がありえるのかここで検討されています。続く「海外旅行アドバイザー」がトランプという素材にこだわらず構成されたカードトリックで、マジックとしての完成度はこちらの方が高いようにも思えました。フォース手法もよくできています。
「コインの飛行」即興風に演出されたコインの飛行です。本文中で指摘されている通り、コインの増減や移動を体感させることができたら他では得難いインパクトがあるのでしょう。これを読んで、いろいろ手法を考え始める読者もいるのではないでしょうか。
「ホイ式ブックテストのアレンジ」点字図書を用いるブックテストですが、単純に手法を置き換えれば済むというものでもないようで、点字図書を用いる際の注意点や工夫などが解説してあります。

前後の章についても軽く記述しておきます。1章は視覚障害者に手品をするとしたら何に注意すべきか、視覚障害周辺にまつわるターム、なぜ著者が盲学校でマジックショーをするに至ったかの経緯についてなどが書いてあります。興味深い内容です。3章では盲学校マジックに利用可能な市販の製品などが紹介されています。
また付録として、過去のマジケで販売されたグッズ、『ハプティクス』が付属します。この本を読んだマジシャンはみんな「もし目の見えない人相手にマジックを演じる機会があったら、自分はどうするか」ということについて考え始めると思いますが、とりあえずこれを鞄に忍ばせておけば対応ができるという代物になっています。至れり尽くせりですね(とは言えこのグッズは、盲学校マジックのノウハウが発達したら不要になるものかもしれないと著者による断りがありますが)。

さてこれからの人生、目の見えない人相手にマジックを演じるという機会が自分に訪れるかどうかは正直分かりません。ただ仮にそのような機会があったすれば、多分この本のことが頭をよぎるはずです。「視覚情報抜きにマジックを演じることは可能だし、様々な手法がある」ということを知っていることは大きなアドバンテージです。そこでうまいこと目の見えない人とも不思議を共有できたら楽しいでしょう。逆にそういったケースについて一度も考えたことがなければ、ただちに無理だと結論付けてしまうかもしれません。
考えてみると、最大の難関は心理的ハードルにあるのかもしれません。この本はそのハードルを解消してくれます。ひとまず、自分の雑多な手品道具たちにハプティクスを紛れ込ませておこうかと思います。

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