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『黒魔道会活動記録』裏話

こんにちは。せぶんです。

マジックマーケットお疲れ様でした。本来はもっと早く記事を書くべきでしたが、色々とバタついて書くタイミングを逸しておりました。購入したものもまだ全部は目を通せていないので、感想は随時SNSの方で上げていきたいと思います。売り上げが振り込まれましたので、更新するならこの機会がラストだと思い筆を取りました。裏話というと大袈裟ですが、本作品の狙いや散りばめておいた伏線、いただいた回答などを紹介します。


謎解き型小説を書きたいなと思って書き始めた当初は、シンボルとしての登場人物で完結させる淡白なものを想定していました。『Ethanol Selection』をお読みいただいた方はわかると思いますがあんなイメージです。そのため登場人物を私と先輩と後輩で書き始めたのですが、先輩と後輩が徐々にゲシュタルト崩壊を起こし始めました。あと私視点で描かれる物語なので、先輩呼びは良いですが、後輩のことを後輩と呼ぶのはなんだか変だなとも思いました。そこでSNS上で後輩の名前を募ったわけですが、その時点でダイ・バーノン要素を散りばめようといったアイデアが少しずつ形になり始めていたため、結局出来レースになってしまいました。申し訳ありません。いただいたアイデアの中で一番好きだったのは『仁尾明日香』です。普通にマジック関係ない作品に出てきても違和感のない完成度だと思います。どこかで使いたいですね。皆さんはダイ・バーノン要素をいくつ見つけられたでしょうか。そこまで見つかりにくいものはないと思いますが、一応一番難しいかもしれないところを挙げると、冒頭で私が演じていたマジックはダイ・バーノンの作品です。


本作品は【問題編】を初日に無料で頒布し、翌日に【解答編】を販売する形を取りました。単純にその方が多く売れるだろうという戦略です。この戦略は間違いなく成功したと思いますが、【問題編】は全てのマジケ参加者がとりあえずで買ってくれると思っていたので(半分嘘ですが)、そううまくはいかないという現実を突き付けられました。やはり事前の宣伝や知名度は大事だなと。その代わりに【解答編】の売れた割合は想定よりも高い数値となりました。参考までに言うと【問題編】の約6割です。これは【問題編】を読んで続きが気になった方の割合ですのでとても嬉しく思います。今回、時差販売を快諾してくださったマジックマーケット運営の戸崎さんには改めて感謝申し上げます。


新しい試みとして【問題編】を先出しして、読者に謎解きして回答を送ってもらうというキャンペーンも実施しました。回答者は0人を覚悟していたのですが、ちらほら回答をいただきました。本当にありがとうございます。少しいじわるかなと思っていたワイキキカードロケーションについては回答者全員が正解していました。のんちゃんのセリフに気づいてくれた方も1名いらっしゃいました。その方は手法面で不正解となってしまったのですが、作者としてはとても嬉しかったです。

そして気になる正当者ですが、1名の方が手法について、使っているモノも含めて完全解答してくれました。難しすぎず簡単すぎないラインを攻めたつもりでしたので、喜ばしい結果です。小説だけではこの解答は無理なので、動画をよく見てくれたということでしょう。動画も用意したかいがありました。その方は作者が想定していなかった回答も送ってくれたのでここで紹介します。

『キー(◯◯◯◯を取り上げたの)はのんちゃん』という回答です。

この回答を想定していなかった理由は、初稿では取り上げるのが私だったためです。動画と見た目を揃えるために取り上げる順番を修正した結果そうなりました。あとは手順には関係のない2箇所の回想シーンにヒントが隠されているところが本作品の狙いでもあったため見落としてしまいました。この回答も正解と言って間違いないでしょう。


それ以外に、登場人物の性別に言及してくれた方がいました。お気付きの方もおられると思いますが、本作中で私と先輩の性別は意図的に伏せられています。これには特に深い意味はなく、ただ読んだ人が好きに性別を設定して楽しんでもらえればと思ったためです。ちなみに作者の中では女性ということになっています。しかしその方は、作者の意図しないところからそのことを読み取ってくれました。それはサークル棟の間取りです。サークル棟の間取りにはトイレが1つしかありません。そのことから女性のみか男性のみしか使えないことがわかります。のんちゃんが女性であることからこの大学は女子大ではないかと推理してくれました。

サークル棟の間取りは東北大学に実在するサークル棟の間取りを記憶を頼りに書き起こしたものであり、確かにトイレは1つしかありません。確かにトイレは1つしかないのですが、このサークル棟、実は2階建てなのです。1階が男子トイレ、2階が女子トイレという分かれ方をしています。作品自体に全く関係のない間取りだから1階部分だけでいいかという作者の怠慢が面白い結果をもたらしました。いやー、この感想を見たときには震えましたね。作品を作る面白さはこういうところにもあるのだと思います。その他にも作中キャラクターのモデルについてピンポイントで当ててくる方もいたりなど、最後まで作者本人も楽しませていただきました。感想を送ってくれた全ての方に感謝します。


まともに小説を書いたのは今回が初めてだったのですが、うまいことキャラクターも動いてくれて楽しく書けました。創作の幅も広がったと思うので、これからも思いついたアイデアをガンガン形にしていきたいです。とりあえずは天啓が降ってくるのを待ちます。


マジケ2021春 参加のお知らせ③

こんにちは。せぶんです。

「マジックマーケット2021春」の「東北大学クロマドウ会」ブースの商品紹介その3です。



『黒魔道会活動記録』

黒魔道会活動記録

事の発端は去年のマジックマーケット2020。当ブースで頒布予定だった『Ethanol -Selection-』の中に読者に挑戦するネタが載っていました。そのネタは本作品とは趣旨が異なるのですが、興味のある方は是非今回満を持して販売される『Ethanol -Selection-』をご購入ください。とにかくそれを見た瞬間から自分も読者に挑戦するネタを作りたいと思い始めました。それから1年で完成に漕ぎ付けられたのは我ながらよくやったと思います。

本作品は謎解き型小説です。読者には小説中に出てくるトリックについて解明してもらいます。このトリックは僕が個人的に課した以下の3つの課題をクリアしています。

1. トランプ1つあれば誰でも謎の解明に取り組めること
マジックマーケットはマジシャンが集う場所ですが、他ジャンルから人を呼び込める場所でもあると個人的には思っています。推理小説が好き、パズルが好き、ただ単に頭を使うのが好きといった方もターゲットにしたいと考えています。マジシャンでなくても対等な条件で考えられるように、使うのはトランプ1つだけです。

2. 特殊な技法を用いないこと
特殊な技法は使いません。使うのはマジックにおいて基本とされるカットとシャッフルのみです。知らない方も実演動画で確認することができます。これについてはもちろん1と重複する部分もあります。しかし最大の理由は「ここでエ◯ム◯レ◯カ◯ントを使っていたんだ」とか嫌だなと思ったためです。嫌じゃないですか?

3. 意味深なヒントが出せること
これが一番大事にしたポイントです。1と2を満たすトリックは星の数ほどありますが、意味深なヒントが出せるトリックとなるとなかなかないのではないでしょうか。このポイントについては結構頑張れたと思っているので、ご期待ください。


本作品は【問題編】と【解答編】に分かれています。【問題編】はマジックマーケット2021春にて5月1日に販売開始します。多くの方の手に取っていただきたいという考えで値段は0円です。無料です。【解答編】は翌日2日に販売します。値段は500円です。

今回、戸崎さんに無理を頼んで時間差販売をお願いしています。謎解きを楽しんでもらいたいと思ったためです。そこで、ちょっとしたキャンペーンを行います。見事に本作品の謎を解明してくれた方、先着7名様に【解答編】を無料で贈呈します。マジシャンの方とマジシャンでない方で回答方法が異なりますので下記をよくお読みください。

【マジシャンの方】
作中に出てくる3つのヒントが意味するものを全てご回答ください。

【マジシャンではない方】
作中に出てくる3つのヒントが意味するものを最低2つご回答ください。

ちなみに回答者がマジシャンであるかどうかについてはこちらから積極的には調べません。自己申告でお願いします。

キャンペーン期間:5月1日 12 : 00 〜 5月2日 11 : 30
回答は以下のメールまたはTwitterのDMにお願いします(メールアドレスは☆を@に変更してください)。
メール:seven.tanabata☆gmail.com
Twitter:@seven_magica


雑感:『巨人の肩に触れる 盲学校マジック作品集』

ムナカタ・ヒロシです。最近たいへん面白い本を頂きましたので、それについて書きます。

『巨人の肩に触れる 盲学校マジック作品集』
奥付を見ますとA Bubble Circus 発行、万博 著となっています。数日後に迫ったこのたびの2021年マジックマーケット春にて頒布予定のレクチャーノートです。

どういう顛末でこちらの本を頂いたかと言いますと、著者の万博さんがノートに用いる紙などの仕様を検討する際『52Hz』を参考にしてくださったそうです。そういうわけで私としては献本していただけるようなことをした覚えはなかったのですが、断る理由もありませんしありがたい機会なので是非にと頂くことにしました(それに、マジケで争奪戦になりそうな予感もしますし……)。

さて、初めに言い訳というかひとこと断っておくと、こちらの本、レビューというレビューが書きづらい本になっています。レビューないし批評というのは本来、背景に様々な比較対象があってこそ書きうるものだからです。分かりやすく言うとこの本は、マジックを解説したレクチャーノートに分類されるのですが、そこで設定されているテーマに先例がありません。そのテーマとは「(広義の)目の見えない人に対してマジックを演じる」ということで、著者はこれを「盲学校マジック」と呼んでいます。このような本は、少なくとも日本語で書かれたものや訳されたものの中には存在しないでしょう。他言語の書籍を探しても、まるまる一冊が同テーマに充てられている本となると発見できないかもしれません(私の狭い知見では、その判断はしかねるのですが)。ですからレビューが書きづらいわけです。私にしたって、目の見えない観客に手品を演じるということについて深く考察した経験は正直ありません(もし演じるとするならエキボックを用いた予言あたりか……ということをぼんやり考えたことはありますが)。

つまるところこの本は非常に先駆的な内容であり、コンセプトそれ自体が意義深いものであるのですが、反面それは長い間この分野に光が当てられてこなかったということをも意味しています。手品の歴史が始まって以来ずっと存在していたはずの「目が見えない観客」という対象がこれまで顧みられてこなかったことの証左でもあるでしょう。いずれにせよこの本が書かれ、盲学校マジックに対するおよそ10年の長きにわたる注力と研究の成果を知ることができるということは、ひとまず喜ばしいことです。別の著者による小冊子ですが『カラーユニバーサルマジック』にしろ、こうした方向からマジックを捉えなおした読み物がマジックマーケットという場で個人の書き手によって発表されているということにも何となく感慨を覚えます。

さて、レビューを放棄して投げ出しっぱなしにしてしまうのも何なので、具体的な内容について私に可能な範囲で触れたいと思います。このレクチャーノートは3つの章から構成されていますが、そのメインとされる第2章に具体的な作品たちが収められています。

解説されている最初の2作「爆ぜる結び目」と「スプーン曲げ」で気付くのは、「普段何気なく演じているマジックの中にも、視覚だけでなく体感的な要素は含まれている」ということです。視覚情報を封じられてしまうと、自分が普段演じているようなレパートリーはほぼほぼ全滅だな……と考えていたのですが、スプーンベンディングで曲がる瞬間の感覚を体験させる手法など、確かにこれぞ不思議さを触覚的に感じさせる手法です。
また「チャイナリング」も、先入観からこれは演じられないマジックのひとつだろうと思い込んでいたのですが、きちんと情報を提示しリンキングの感触を味わってもらうことで、演目としてちゃんと成立するとのことです。
「動物占い」はいわゆるラジオ越しに演じられるタイプのマジックを応用したもので、サロンマジックのアイスブレーク的な位置づけで用いられている作品だそうです。オチが一発で伝わるのが良いですね。視覚障害の有無に関わらず、なまじ視覚的なオチより伝わりやすいかもしれません。
「楽器の予言」は楽器という素材によってサロン的なやや広めの会場でも演じることができるように組まれたトリックです。これ1つでショーピースとして成立するように演出まで含めて工夫されています。特にエキボックの流れが丁寧に考えられていると思いました。
「点字トランプを使った即興カード当て」「トランプの予言」は点字トランプというある意味では特殊な道具を使ったマジックの試みです。そもそも点字トランプ自体がマジックに向いていないのではないかと著者本人がいくつかの理由を挙げながら本文中で指摘していますが、それでもカードマジックのリクエストであるとかカードマジックに興味を持ったお客さんに遭遇するケースはあるようで、どのような演目の可能性がありえるのかここで検討されています。続く「海外旅行アドバイザー」がトランプという素材にこだわらず構成されたカードトリックで、マジックとしての完成度はこちらの方が高いようにも思えました。フォース手法もよくできています。
「コインの飛行」即興風に演出されたコインの飛行です。本文中で指摘されている通り、コインの増減や移動を体感させることができたら他では得難いインパクトがあるのでしょう。これを読んで、いろいろ手法を考え始める読者もいるのではないでしょうか。
「ホイ式ブックテストのアレンジ」点字図書を用いるブックテストですが、単純に手法を置き換えれば済むというものでもないようで、点字図書を用いる際の注意点や工夫などが解説してあります。

前後の章についても軽く記述しておきます。1章は視覚障害者に手品をするとしたら何に注意すべきか、視覚障害周辺にまつわるターム、なぜ著者が盲学校でマジックショーをするに至ったかの経緯についてなどが書いてあります。興味深い内容です。3章では盲学校マジックに利用可能な市販の製品などが紹介されています。
また付録として、過去のマジケで販売されたグッズ、『ハプティクス』が付属します。この本を読んだマジシャンはみんな「もし目の見えない人相手にマジックを演じる機会があったら、自分はどうするか」ということについて考え始めると思いますが、とりあえずこれを鞄に忍ばせておけば対応ができるという代物になっています。至れり尽くせりですね(とは言えこのグッズは、盲学校マジックのノウハウが発達したら不要になるものかもしれないと著者による断りがありますが)。

さてこれからの人生、目の見えない人相手にマジックを演じるという機会が自分に訪れるかどうかは正直分かりません。ただ仮にそのような機会があったすれば、多分この本のことが頭をよぎるはずです。「視覚情報抜きにマジックを演じることは可能だし、様々な手法がある」ということを知っていることは大きなアドバンテージです。そこでうまいこと目の見えない人とも不思議を共有できたら楽しいでしょう。逆にそういったケースについて一度も考えたことがなければ、ただちに無理だと結論付けてしまうかもしれません。
考えてみると、最大の難関は心理的ハードルにあるのかもしれません。この本はそのハードルを解消してくれます。ひとまず、自分の雑多な手品道具たちにハプティクスを紛れ込ませておこうかと思います。

マジケ2021春 参加のお知らせ①

こんにちは。ムナカタ・ヒロシです。

東北大学クロースアップマジック同好会と似て非なる団体こと我らが「東北大学クロマドウ会」ですが、昨年に引き続きオンライン開催となった「マジックマーケット2021春」に参加いたします。

さっそくですが、「東北大学クロマドウ会」のブースより、こちらの作品集を販売します。
 

『Ethanol -Selection-』 

  エタノールSelection表紙_page-0001 

決してレパートリーにならない手品をあなたに……。

あの謎ネタ集が帰ってきました。
マジックマーケット2016~2018の3年にわたって販売された闇鍋的作品集こと「エタノール」です。
知らない方のためにざっくり説明すると、まともな手品になり損ねた子たちがかき集められたレクチャーノートです。

2018年には最終巻ということで「the Final」の副題がつけられ終止符が打たれたはずでしたが、読者の方が望むと望まざるとに関わらず復活を遂げ帰ってきます。

今回は、過去の3冊『Ethanol Vol.1』『Ethanol Vol.2』『Ethanol the Final』からの傑作選をメインに、新作パートを併せた内容となっています。 過去作パートについてもチェックを入れ、ミスの訂正や加筆などを施しています。また過去の3冊はコピー本でしたが、今回は分不相応に製本されたものをお届けしますので、以前のエタノールをお持ちの方もぜひそんな紙束は焼き捨てて購入を検討していただけるとありがたいです。

色々詰め込もうとしたせいでB5サイズ・全94ページとボリュームたっぷりな本になってしまったんですが、執筆者一同みな計算が苦手だったために1冊の値段を500円に設定してしまいました。ゴシャク円。ワンコインです。タダ同然。採算という概念がどこかに行っているので、ぜひ購入を……。 

それでは内容紹介なんですが、作品集の性質が性質だけに(出オチ的な手品もあるので)、トリックの詳述は省略し、タイトルだけ列挙していきたいと思います。

旧作編

MISSTIC SPLIT
Triangle Assembly
カード・スルー・ザ・紙コップ
Minesweeper
HPMUIRT
Deus Ex Machina
Gambler's Collectors(N.B. Collector改題)
VIP Reset
BINGO PARTY
Ambiguous Card

新作編

The Tragedy of Q
世界で一番早いカードアンダーザボックス
世界で一番賢いトリック
アルティメット・アミダ・アセンブリ
Angel's Escalator
轟盲札
No Wonder Transposition
Any Hz at Any Hole
Hand-Rub Vanish
幻聴

まともじゃない手品たちと言いましたが、まともな手品と呼ぶにはバランスが悪すぎるというだけで、手品として成立しているやつもあります。手品かどうか怪しいやつとか明らかに手品じゃないやつも載っていますが。旧作と新作から1つずつお薦めするとしたら、「BINGO PARTY」と「世界で一番賢いトリック」は絶対に一読の価値があります。

ちなみに……この作品集は、本来であれば去年の2020年マジックマーケットにて頒布される予定でしたが、マジケが直前でオンライン開催の方針に転換したことを受け、共著者一同で話し合った結果、販売を見送ることとなりました。しかし今年もオンラインでの開催となり、世情も先行きが見えない中、オフラインでの販売にこだわっていると本書が陽の目を見る機会を永遠に逸すると判断され、出品の運びとなりました。このブログを読んでいる方ならゆめゆめ誤解されるようなことはないかと思いますが、本レクチャーノートは冗談みたいな冊子なので、間違っても真面目な内容を期待してご購入なさらないようご注意願います。収録内容はすべてフィクションなので、真に受けて実演を試みた結果、観客に罵倒されたり、IQが低下したり、骨折したり、野良犬が集まってきたり、保管しているすべてのデックからカビが生えてきたりしたとしてもそれは我々の責任ではなく、真に受けた読者の皆様の責任となるのでご了承ください。あと書いてあることの意味が分からなくても深く考えてはいけません。

今回の1冊がたぶん本当に最後の最後になります。もう2度とこんな奇怪な手品たちに頭を悩まされることがないと思うとせいせいしますね。クソネタどもの断末魔をぜひ見届けてください。

レビュー:天変地異

脇坂将太さんのレクチャーノート『天変地異』です。

現在、このレクチャーノートのレビューをツイートすることで未収録アイデアがもらえるキャンペーン中です。


 こちらでダウンロード版を購入できます。

https://majion.shop-pro.jp/?pid=149193921


とあるギミックデックの作り方と、それを使ったマジックが解説されています。ギミックデックと言っても、普通に他のマジックにも使えるので作らない理由がないでしょう(と言いつつ筆者はずぼらなのでまだ作っていません)。脇坂さん自身が演じたうえで気を付けた方が良いところ、当て方の工夫など事細かに教えてくれるので、それだけでも価値があります。


 

1. 不可能への挑戦

表題作です。混ぜさせて、選ばせて、戻させて、混ぜさせて、それでも当たる。理想のカード当ての流れだと思います。できれば演者はカードに触りたくないので、アレンジの方かあるいは最近購読した、きき。さんの『ムーンサイド』で用いられている手法を採用したいところです。ちなみにアレンジの方は奇術研究あたりで類似のものが解説されていた記憶があります。

 

個人的に収穫だったのはレギュラーで行う方法で、セットまでは同様のものを考えたことがあるのですが、選ばせ方はなるほどと思いました。どこかで使う機会があるかもしれません。

 


2.Far from Eye, Far from Heart

ダイ・バーノンの『Out of sight, out of mind』へのアプローチで、負担はかなり軽くなっていると思います。場合によっては選ばれたカードがある場所に来てしまうのが個人的に気になっていたので、とても良いアプローチだと思いました。

 


3. ワキワキ・カードロケーション

『ワイキキ・カードロケーション』へのアプローチです。実は、似たような作品を考えていたところだったので、確認するために購入した経緯があります。結果的には異なるアプローチでしたが、最後の処理のアイデアなどは面白く、僕の作品の方にも応用できそうです。

 

 

4.Do as I DO

Do as I Do』へのアプローチ。ただできたからやってみたではなくて、それによって原案とどういった差別化が図れるかが書かれていて良かったです。この手順だけではなく他の作品でも言及されています。作者の狙いを推し量ると少しずれていたりするので、そのあたりのことがきちんと書かれているレクチャーノートは読んでいて楽しいです。

 

 

5.Dr.Joseph Bell

2人の観客の行動を当てるという面白いプロットです。なんならレギュラーでもできそうなので今度やってみようと思います。レギュラーデックでやっていたものをギミックデックに落とし込む手順が多いですが、この作品のように逆輸入できる作品も載っているので楽しみ方が豊富で良いです。

 


6.Ten Card Poker Deal

Ten Card Poker Deal』の最後にこのデックならではの現象を起こします。これも前の作品と同様に観客の行動を当てるものになっており、良い現象案だと思いました。

 


7.Simple Elimination

『不可能への挑戦』とはまた違ったアプローチのカード当てです。これは正直難しいと思いました。元となる原理が存在するのですが、それと比べて飛躍的にカードを特定する速度が速くなるかと言われたらそんなことはなく、複数の原理を組み合わせた結果、脳のタスク自体は増えている可能性もあるのではと思います。元の原理で慣らしている方はそちらで十分だと思いました。ただし、次の作品を続けて演じることで相乗効果を発揮するマジックとなっていますので、初めてこの類の原理に触れる方はこちらから練習するのも悪くないと思います。

 

 

8.Scramble Card Trick

前の作品に続けて演じることで、ピット・ハートリングの『Unforgettable』に近い印象を与えられる手順です。結構難しめな手順ですが、レギュラーデックで演じる場合と比較して、負担は非常に軽減されていると思います。

 

 

9.Deluxe Edition

裏にサインしたカードを観客自身が見つけ出してしまう現象です。プロらしい手順だと思いました。表ではなく裏にサインしたカードで行う理由として、裏側に秘密のマークがあるという認識を逆手に取るといったことが書かれているのですが、それだけではないような気がします。個人的意見ですが、観客の認識上の『結果が収束するタイミング』が異なるのではないかと思います。このあたりさらに考察ができそうなので、得意な方にお任せしたいところです。



マニアを唸らせる手順から低負担でインパクトのある手順までを、1つのギミックデックでこなせてしまう、広範囲に応用が利くレクチャーノートです。キャンペーンは2020年中ですので、この機会を逃す手はありません。気になった方は是非ご購入ください。

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