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カード・トゥ・ワレットや『サプライズ手帳』の話

先日(9/30)、テンヨーフェスティバルに参加してきましたTです。

ところで、みなさんは当然カード・トゥ・ワレットが好きですよね。以下、「みんなカード・トゥ・ワレットが好きだ」という前提で話を進めていきます。

カード・トゥ・ワレット用の財布なんて本来ひとつあれば十分なはずなんですが、ワレットと名の付くものであれば即座に買ってしまうような好事家には遠く及ばないながらも、僕もこの手の商品をいくつか所有しています。

挙げてみると、スーパースリム・ヒップポケット・マリカ・ワレット、ダニ・ダオルティスのマルチ・エフェクト・ワレット、テンヨー製の新ルポール・ワレット、マジック工房VAKOG製のパーフェクト・L-ワレット、マジックランド製のマジック・パスケース(Ton’s Wallet)などです。カード・トゥ・ワレット機能は備わっていませんが、テンヨー製のATMワレットなども持っています。



スーパースリム・ヒップポケット・マリカはマリカ・ワレットというものをひとつぐらい所有しておきたかったので買いました。まあ、財布と言うにはちょっとちゃちな手触りで、あまり見かけない形状なんですが、マリカのタイプにはよくあることでしょう。

マリカ・ワレットというのは、パームのいらないワレットとして有名です。カードが出現する直前まで、観客に持っておいてもらうことも可能です。独特のハンドリングによって、財布の中の独立したコンパートメント、二重の財布の中からカードが出現するものです。参考としては、故ユージン・バーガーの「グルメ」に演技と解説があります。

学祭の演技などで何度か使ったこともあるのですが、反応は上々でした。しかし、やはり見た目の怪しさから使用頻度も極端に少なく、たぶん誰かにあげてしまったと思います。記憶の限りでは、日本円のお札は入らないサイズだったと思います。



マルチ・エフェクト・ワレットは作りが独特で、ダニによる豊富なアイデアが面白い商品です。手にしてみると、これはいったい既存品とどう違うの? という印象を持ちますが、解説を見てみると、変化、出現、コンパートメントへの飛行、スイッチ、スティールなど様々な用途を可能にするため隅々までデザインが工夫されていると分かります。道具を手にしただけではその良さは分からないでしょう。これは本当に、手にしたうえで、解説動画を見てもらわないとなかなか真価を伝えにくいところがあります。
ただ、こんな財布なんて見ない、という問題は付きまといます。紙幣は折らない限り入れる部分がないので、カード&小銭入れというていで扱う必要があります。



新ルポール・ワレットはテンヨー製のディーラーズ・アイテムですから日本のお札が入ります。ルポールというのはパームしてロードしてくるタイプのひとつの完成形というか、これが最もシンプルで不思議、というような品物ではないでしょうか。カードが消え、演者は財布のジッパーから封筒(糊付けしてある)を取り出します。その封筒を破って開くと、確かにサインカードが収められています。

ロードのしにくさや扱いにくさなど気になる点はありませんし、見た目の違和感もないです。小銭を入れる部分はありません。あくまでも紙幣やカードを入れておくための部分だけで構成されています。長く使えるしっかりした簡素な道具としてお薦めできます。



パーフェクト・L-ワレットはたまに使っている人を見ます。これは演技に使っている人というよりも、マジシャンが集まるような場所で普通に財布として携帯している人を見る、ということです。
作りがしっかりしているし、国内オーダーメイド製造なので当然日本円紙幣が入ります。やや使いにくいですが小銭を入れる部分も備わっています。機能としては、パーム不要で直接的にロードして中のジッパーから取り出せるようになっている部分(カップスというよりマリカを一重にしたみたいな)と、パームからのロードでルポールとして使えるようになっている部分です。ルポールというのは主に封筒の都合から、基本的に即座に繰り返し使えるようなものでもないのですが、この商品にはきわめて簡易的なパス・ケースが付いていて、この中へ飛行したという風に見せることができます。これは数秒でリセット出来てかなり便利です。不思議さをどこまでも強調したい場合には封筒を使えばいいと思うのですが、実はこの封筒の型紙もPDFで商品に付属していたりします。

色が選べる、というところも大きいと思います。この手の商品で流通しているものはみんな決まったように黒いので、無難なのかもしれませんが、(特に女性などは)不満のある人もいるでしょう。今はまた事情が違うかもしれませんが、ちょっと前まではカラーバリエーションのあるワレットというと周囲を見渡せばこれしかありませんでした。6種類の色合いから選ぶことができ、僕は「ライトキャメル」という明るい茶色のものを持っています。また、好きなアルファベットの言葉、文字列をある範囲までならサイフの内側に刻印してもらうことが可能です。小さくはありますが。僕の持っているものに何と刻印してあるかは秘密です。
PDFの解説が詳細なのも良いです。

気に入らないところと言えば、ちょっと嵩張るというところでしょうか。ごついのですよね。あと、ルポール機能の部分はやや入り口が固くてカードを入れるのに手間取るときがあります。これは使っているうちにこなれるのかなーと思ったのですが、僕はそんなに繰り返しカード・トゥ・ワレットをやらないので(そんなやつがいくつもワレット買うな)、一向にこなれてくる気配がありません。そういうわけでAVIATORとかNOCデックなど、固めのカードが入れやすいという印象があります。

まあ、値段は仕方ないかなーという気がします。

10/07追記:いくらなんでも気付くのが遅すぎますが、複数枚のカードならロードしやすくなるという当たり前のことに今になって気づきました。当たり前すぎて「気付いた」という表現が正しいのかよくわかりませんが。



マジック・パスケースというのはマジックランド製の商品で、いま手に入るのかどうかちょっとわかりません。ネットショップで目につくところではセオマジックにおいて在庫があるようです。僕は東京に行ったときマジックランドの店舗で直接買いましたが、それが最後の一点とか言ってたような言ってなかったような。

これは財布というより名前通りパスケースとしてデザインされたもので、普通にパームしてロードするのですが、いわゆるロック機能のあるヒンバ―・ワレットとしてもデザインしてあるというものです。ヒンバ―なので普通にすり替え用の道具としても使えるのですが、これの面白いところは、ロードして出してきたパスケースを開き、カラであることを示せるという点です。おまじないなどかけてから開くと、カラだったところにカードが出現しています。


(↑参考動画。この実演では観客に一時パスケースを預けていますが、実際の道具を手にしてみるとこれはちょっと怖くてやれないかなー、と思います。演者がパスケースを持ったまま観客にカードを取り出させるところは問題なく可能です)

別売りでホルダーが用意されているのですが、このホルダーなしでロードしようとするとかなり難しいと思います。安全ピンが付いたこの専用ホルダーによって、内ポケットのない上着からでも取り出そうと思えば取り出せるようになっています。



とりあえず、後半の3点などはどれかひとつ買っておいても損はしないでしょう(その中でも特にひとつだけと言うのであれば、パームができるという前提で新ルポール・ワレットをお勧めします)。ですが、どんな道具であっても個々人にとって細かいところで気に入らない点などはあるかと思います。筆者も何だかんだでレパートリーないしペットトリックとして常時身に着けているものはありません。そもそも、多くの奇術愛好家が複数のワレットを買い比べてみたり、新製品が一定期間をおいて思い出したようにあちこちから発売されるというこの現状が、道具の進化ではなく、むしろ完璧なワレットがどこにも存在しないという事実を裏付けているように思えてなりません。手品の道具とは、あまねく「そういうもの」なのかもしれませんが。



で、ここからが本題なのですが、先日、第60回テンヨーマジックフェスティバルが開催されまして、台風の接近もあるなか参加してきました。ショーの素晴らしさなどは本題ではないので省きます(とても良かった)。その場でディーラーズ・アイテムの『サプライズ手帳』という新製品が売られており、購入しました。

これは要するに、カード・トゥ・ワレットの手帳版です。『サプライズ手帳』は、手品用ワレットに対してしばしばありうる「こんな財布見かけないよ」という不満が出ようがありません。どこからどう見てもただの手帳です。と言うより、ただの手帳です。ワレットの宣伝文句では「普段使いできる」という表現が好まれますが、その点においてはこれ以上のものはないでしょう。本当にただのシステム手帳なんで、中身のリフィルを都合に合わせてカスタマイズできます。

IMG_20181004_142059.jpg
(↑写真のリフィルは自分で用意したものです。カードを入れておくためのスリットがあったので、Tカードを挿してみたり。ここに通常のポーカーサイズのカードが入れられれば良かったんですが無理でした)

この種のディーラーズ・アイテムは、一度テンヨー製のものを手にすると海外の輸入品などは使えなくなるんじゃないか、とあらためて感じさせられるくらい品質が良かったし、使いやすいです。

手帳という素材の性質から、メモ帳として扱えます。つまり、何かを書きつけておく、あるいは予言を用意しておく必要性がある文脈さえ仕立てれば、自然に取り出すことができるわけです。これは極めて演技に組み込みやすい特性であると思います。もちろんワレットに予言やメモ用紙を挟んでおいても問題はないでしょう。しかし、テーブル上に無造作に放置しておきやすい品物としては、手帳のほうに軍配が上がるのではないでしょうか。考えてみると、手帳というのはフォーマル感と日常性のバランスがちょうどいい品物です。一方で財布には、心理的な面から観客の手が伸びにくいという利点はあるかもしれません。まあ、手帳を勝手に調べられるというケースも、相当ひどい観客を相手にしていない限り考えにくいのですが……。

種類としては、マリカタイプの中のほうみたいな感じで、パーム不要です。手帳というモノの性質上、ルポールのような構造は難しいのかもと思いましたが、作りようによっては無理ではなさそう。より広い客層に訴えるために、必要とされる技術レベルを下げたのかもしれません。ロードして出すという使い方が想定されていますが、逆にジッパー付きのコンパートメントに入れたカードをひそかに抜き取ってくるといった使い方もできると思います。

で、最初はちょっとジッパーの出口までの距離が短すぎるかな? という印象があり、これだと観客に引っ張り出してもらうなどの操作がしにくいかな、と思いました。ですが、この商品にはジッパーの通じる空間(ポケット)がきちんと用意されているので、途中までカードを現しておいて、あらためてこのポケットに入れ直すことによって、不思議さを補強することができると気付きました。カードをいったん入れなおす動作の理由付けとしては、片手でカードを持ったままジッパーを押し広げて中をちらっと覗かせる、という動きにかこつけて行うのが良いように思います。あと、このポケットに観客の手を入れてあらためさせることも、やろうと思えばできそうです(やらないほうが良いと思いますが)。
ただ、入口出口の距離が近いということには変わりないので、適当に扱っていると、カードを取り出すときジッパーの奥に見えてはいけないものが見えてしまう「事故」が起こりかねません。これはきちんと指で押さえながら手帳を扱えばいいだけですね。

気に入らない点と言えば、モノの品質が全体に良いためかえって気になるという感じで、困るというほどではないのですが、ジッパーが少しだけ引っかかるときがあります。こういうことには詳しくないのですが、何かしかるべきものを塗ったりすればいいのでしょうか。

IMG_20181004_142359.jpg

というわけで総評として、あくまでも財布という物体でなければ嫌だという方や、パームしてロードを済ませておいてから取り出してくるタイプの道具を欲されている方、観客に持たせておいても心配のない道具を必要とされている方でなければ、誰にでもお勧めできる一品だと思いました。値が張るところだけ難点かもしれませんが、数千円の使い物にならない商品をいくつか買うことに比べたら良い買い物ですし……これ以上自分の理想に近い道具を手にしたいのであれば、よく言われることですが、革細工の技術を持った人間に、オーダーメイドで作ってもらうのが一番ではないでしょうか。
 
久々に良いものを手に入れたなあという感じで、本当に気に入ったので、この商品のための手順を作ってしまいました。あくまで手帳という素材に絡めたカードマジックをしたいなと思い、すぐに連想したのがカレンダーを利用したカード奇術です。カレンダーとカードの組み合わせというのは、これはこれでひとかどの分野であり、Alex ElmsleyのFate’s Datebookなどが代表作として想像されます。僕がいじくってみたのもこの手のカレンダーが絡む手順で、まだまだ改善の余地はありますが、今後実際に試してみてブラッシュアップしていこうと思っています。

さすがに手順を書くわけにはいかないので、最後に現象だけ記録しておきます。

現象

観客2人にカードを選んでもらう。演者は、トランプがかつてカレンダーとしても使われていたことを説明し、数字とトランプと暦の不思議な関係性を見せると言う。カードには、サイン代わりに観客自身の誕生日を書いてもらう。
観客にも手伝ってもらい、1人目のカードをデックの中に混ぜこむ。演者の手帳を開くと、カレンダーには1日ごとにランダムな数字が書き込まれている。この数字について演者は、その日に生まれた人間ひとりひとりにとっての「ラッキー・ナンバー」のようなものなのだと説明する。観客の誕生日を聞いて、その日に書かれている数字を確認し、デックの同じ枚数目を確認すると観客のカードが出てくる。

2人目のカードもデックに混ぜてから、誕生日をたずねる。同じように誕生日に対応する数字からカードを取り出してみると、それは観客のカードではなくジョーカー(もしくはブランク・カード)であり、フェイスに「ジッパーをあけて」などと書いてある。
手帳の横側に付いたジッパーを開くと、2人目の観客のカードが出てくる。
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