2018.12.24
HIGH CALIBER
お久しぶりです。
ジョン・バノン氏の『HIGH CALIBER』を手に入れたのでちょっとしたレビューをします。
今までにジョン・バノン氏が世に送り出してきた小冊子をまとめたものになります。作品数は約40ほど。「これで10000円くらいですからひとネタ約250円。間違いなく買いです」と唆されて、本当はそんなお金はなかったはずなのですが気がついたら手元にありました。不思議です。
レビューするとは言いましたが、ネットで調べると既に素晴らしいレビュー記事が存在しているので、全体を通した感想はそちらをみてもらえれば良いかなと思います。ここでは僕個人が即レパートリーに入れたものや、原理や考え方が面白いと感じたものに関して重点的にレビューをします。
ジョン・バノン氏の作品はイロジカルな手法を用いることが多いのですが、個人的には嫌う傾向にあるのでそこの基準はシビアに行きます。全作品通して、原理が面白く、難易度がそれほど高くないものが多いという点は非常に評価高いです。
・Riverboat Poker
小説パートを読んでこれダイ・バーノンのアレじゃんと思ってましたが違いました(半分はダイ・バーノンのアレです)。構造としてはダイ・バーノンの方が美しいですが、ノーセットで始められる点は優秀。また、後半部分の省略がちょうど良く、ポーカーがそこまで浸透していない日本人向けに感じられました。原案ではストーリー仕立てですが、一番強い手札を作るというゲームっぽい演出で行うのが敷居低いかなと思います。
ちなみに1段目が終わってカードを回収するところは、最初3枚を下に回して、2つ目のパケットのトップカードで残りをすくい上げる形で取り上げる方が自然です。
・Duplicity
”Twisted Sisters”の原型かと思いきや、後に作られた改案です。一長一短あるのでこちらも知っておくと武器として使える日が来るかもしれません。個人的には”Twisted Sisters”の方が好きです。
・Fifty-One Fat Chances
オープンプリディクションのトリックとして紹介されていますが、オープンプリディクションとしては認められないと思います。しかしこのマジック自体はすごい良いです。おそらくマジシャンが読むと最初と最後に使う手法が気になると思いますが、その手法に違和感を感じさせないための工夫が張り巡らされていて感心しました。一応最初の手法を教えてない後輩に対しては問題なく通用したことをここに報告します。
・Que Sera Sera
こちらもオープンプリディクションとして紹介されていますが、オープンプリディクションとしては以下略。最後に使うカウントのサトルティが優秀で他の場面でも使えそうです(実際に後輩が使っているのを見た気がします)。
・View to A Skill
個人的ベストマジック。こんなんずるいわ!と思いました。ミラスキルですが、これも原理に気づかせないための工夫が見事です。後輩も「こんなん気づかんわ(意訳)」と言っていました。いやこれはすごい。
・Mega Wave
この辺りからジョン・バノン氏がフラクタルであることに拘り始めるのですが、このマジックについてはフラクタルにしなくても良いかなと思いました。解説中で述べられているように最後の改めが現象の弱化を招く恐れがあるので、無理に改めない方が良いです。見せろと言われた時点でなんかダメな気がします。そう言われないような立ち回りの方が重要です。
・Bullet Party
Triple play シークエンスが面白い。この後に3つほどこの技法を使うマジックが出てくるのですが、個人的にはこれがベストだと思います。現象も色々と応用が利きそうで良いです。
・Buf'd
イロジカルなものに対してシビアだと言いましたが、このトリックがギリギリアウトのラインです。しかし、通用すると言われたらそうかもしれないとは思います。このマジックはトリックの構造が面白く、デックの中に残ってしまうものを再利用して現象を起こすという考え方は他のトリックにも流用できそうです。
・Spin Doctor
Buf'dがギリギリアウトという話をしましたが、こちらは余裕のアウトです。パケットにおけるハーフパス否定派ですが、このマジックをもしやるならハーフパスを使ってしまうことでしょう。タイムミスディレクションを使いますと書かれていますが、どう考えてもそんな余裕はありません。おそらく「観客は違和感を持つものの、その違和感だけでは説明できないレベルの現象が起こるから許される」くらいが正しい気がします。許されると思えるくらい現象は良いです。別の手法を考えたくなりますね。ブランクカードによって移動現象を起こし、エキストラカードの存在を有耶無耶にするというマジックは最近どこかで見た気がします。このマジックから得た発想かもしれません。
・The Bannon Triumph
みんな大好きPlay it straightです。
なんだかんだでちゃんと解説を読んだことはなかったのでいくつか気づきがありました。バノン先生はバノントライアンフと呼んでほしいみたいです。呼んであげましょう。
他にもあるのですが、疲れてきたのでこのあたりで。気が向いたら追加するかもしれません。基本的にどのトリックからも何らかの気づきが得られるので是非一度全ページに目を通して欲しいです。
来年も良いマジック本との出会いがあることを期待します。
ジョン・バノン氏の『HIGH CALIBER』を手に入れたのでちょっとしたレビューをします。
今までにジョン・バノン氏が世に送り出してきた小冊子をまとめたものになります。作品数は約40ほど。「これで10000円くらいですからひとネタ約250円。間違いなく買いです」と唆されて、本当はそんなお金はなかったはずなのですが気がついたら手元にありました。不思議です。
レビューするとは言いましたが、ネットで調べると既に素晴らしいレビュー記事が存在しているので、全体を通した感想はそちらをみてもらえれば良いかなと思います。ここでは僕個人が即レパートリーに入れたものや、原理や考え方が面白いと感じたものに関して重点的にレビューをします。
ジョン・バノン氏の作品はイロジカルな手法を用いることが多いのですが、個人的には嫌う傾向にあるのでそこの基準はシビアに行きます。全作品通して、原理が面白く、難易度がそれほど高くないものが多いという点は非常に評価高いです。
・Riverboat Poker
小説パートを読んでこれダイ・バーノンのアレじゃんと思ってましたが違いました(半分はダイ・バーノンのアレです)。構造としてはダイ・バーノンの方が美しいですが、ノーセットで始められる点は優秀。また、後半部分の省略がちょうど良く、ポーカーがそこまで浸透していない日本人向けに感じられました。原案ではストーリー仕立てですが、一番強い手札を作るというゲームっぽい演出で行うのが敷居低いかなと思います。
ちなみに1段目が終わってカードを回収するところは、最初3枚を下に回して、2つ目のパケットのトップカードで残りをすくい上げる形で取り上げる方が自然です。
・Duplicity
”Twisted Sisters”の原型かと思いきや、後に作られた改案です。一長一短あるのでこちらも知っておくと武器として使える日が来るかもしれません。個人的には”Twisted Sisters”の方が好きです。
・Fifty-One Fat Chances
オープンプリディクションのトリックとして紹介されていますが、オープンプリディクションとしては認められないと思います。しかしこのマジック自体はすごい良いです。おそらくマジシャンが読むと最初と最後に使う手法が気になると思いますが、その手法に違和感を感じさせないための工夫が張り巡らされていて感心しました。一応最初の手法を教えてない後輩に対しては問題なく通用したことをここに報告します。
・Que Sera Sera
こちらもオープンプリディクションとして紹介されていますが、オープンプリディクションとしては以下略。最後に使うカウントのサトルティが優秀で他の場面でも使えそうです(実際に後輩が使っているのを見た気がします)。
・View to A Skill
個人的ベストマジック。こんなんずるいわ!と思いました。ミラスキルですが、これも原理に気づかせないための工夫が見事です。後輩も「こんなん気づかんわ(意訳)」と言っていました。いやこれはすごい。
・Mega Wave
この辺りからジョン・バノン氏がフラクタルであることに拘り始めるのですが、このマジックについてはフラクタルにしなくても良いかなと思いました。解説中で述べられているように最後の改めが現象の弱化を招く恐れがあるので、無理に改めない方が良いです。見せろと言われた時点でなんかダメな気がします。そう言われないような立ち回りの方が重要です。
・Bullet Party
Triple play シークエンスが面白い。この後に3つほどこの技法を使うマジックが出てくるのですが、個人的にはこれがベストだと思います。現象も色々と応用が利きそうで良いです。
・Buf'd
イロジカルなものに対してシビアだと言いましたが、このトリックがギリギリアウトのラインです。しかし、通用すると言われたらそうかもしれないとは思います。このマジックはトリックの構造が面白く、デックの中に残ってしまうものを再利用して現象を起こすという考え方は他のトリックにも流用できそうです。
・Spin Doctor
Buf'dがギリギリアウトという話をしましたが、こちらは余裕のアウトです。パケットにおけるハーフパス否定派ですが、このマジックをもしやるならハーフパスを使ってしまうことでしょう。タイムミスディレクションを使いますと書かれていますが、どう考えてもそんな余裕はありません。おそらく「観客は違和感を持つものの、その違和感だけでは説明できないレベルの現象が起こるから許される」くらいが正しい気がします。許されると思えるくらい現象は良いです。別の手法を考えたくなりますね。ブランクカードによって移動現象を起こし、エキストラカードの存在を有耶無耶にするというマジックは最近どこかで見た気がします。このマジックから得た発想かもしれません。
・The Bannon Triumph
みんな大好きPlay it straightです。
なんだかんだでちゃんと解説を読んだことはなかったのでいくつか気づきがありました。バノン先生はバノントライアンフと呼んでほしいみたいです。呼んであげましょう。
他にもあるのですが、疲れてきたのでこのあたりで。気が向いたら追加するかもしれません。基本的にどのトリックからも何らかの気づきが得られるので是非一度全ページに目を通して欲しいです。
来年も良いマジック本との出会いがあることを期待します。
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