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新春こざわ会

少し前の話になりますが、新春こざわ会に参加してきました。今まで受けてきたレクチャーの中で一番アマチュアマニアっぽさがあって、こんな感じのレクチャー僕もやってみたいなと思いましたが、需要がありませんでした。残念です。それでは演目ごとの感想を。一部記憶が抜け落ちてますが、インフル明けで本調子でなかったのでご容赦ください。


・¥150 Trick

こざわさんの代表作。実演初めて見ましたが、噂に違わぬ面白さでした。50円玉3枚を持ち歩かないといけないのがネックですが、その価値は十二分にあるかなと。


・Engineer's Nightmare

三本ロープの手順。演者と観客の間のズレを産み出す手法の1つである「あからさまな嘘」というものを取り入れています。個人的にはマジシャンは紳士であるべきと考えているので、この手法をとってしまうと「胡散臭い人」っぽさが出てしまい良くないというか、非常にキャラクターを選ぶなと思いました。こざわさんにはとてもお似合いだと思います(褒めているつもりです)。


・Full Line Up

完全に裏表ごちゃ混ぜにしたカードの内訳を記憶するマジック。こういう理性に訴えかけるタイプの不思議、好きです。原案からの改案した点も理にかなっていて素晴らしいです。


・Old Maid's Piano

これは良いトリックです。ピアノトリックの改案としての最高峰だと思います。


・a tale of ten travelers

一人分少ない部屋に全員を一人ずつ泊まらせるという古典パズルを実際に再現するマジック。もやもやします。


・Magician vs Gambler vs Mathmatician

モンティ・ホール問題を絡めたマジシャンvsギャンブラー現象。発想の勝利だと思います。ただ『ten little tricks』のレビューにも書いたように、スイッチはもう少しいいのがあれば良いのになぁと思いました。


・Quintet of the Rings

五本リングの手順。五本が一直線に繋がる所がクライマックスになりますが、繋がるタイミングを完全に外されて驚きました。『Incomplete works』で解説されているものだと思いますが、これを文章で読むのは絶対苦痛です。間違いない。


・With or Without a Hole

穴のあるコインが消えるけど、穴の部分だけは残っているという現象。これすごい面白くて笑いました。現象のユニークさもさることながら、現象後の後始末の大変さがツボで、一粒で二度美味しいって感じです。


・Hello World

ガイドカードを使わないOOTW。いや、全部最後まで見せてよと言われないための話術というか演技力が必要なのでちょっと敷居高めかなと思いました。でもガイドカード使うのもいろいろ気を使う部分がありますし、総評するとOOTW自体が結構難しいマジックなのかもしれません。そういえばOOTWに関して、既出かどうか判定してもらいたいディスプレイがあったのですが、見せ忘れてしまったのが残念です。


・Counterfeit

天秤パズルで当てるカード。これも発想の勝利ですね。唐突な宮崎県在住のマルチ商法マニアの登場には笑いました。


・Electric Prophet

ミラスキルの改案。非常に良くできていると思います。マジオンで買い物する際に予算が余ったので、買って後輩にプレゼントします。


・Octrix

一度生で見てみたかったマジック。8枚のコインでマトリックスするのですが、想像以上に見た目スッキリしてるのに追いづらさは上がっていて良いです。


・The Loaded Dice

ダイスを使ったチョップカップ的な手順。ラストに衝撃的なものが出てきて楽しいです。


・Cueless

クローズドサークルミステリーっぽい犯人当てマジック。実はこのレクチャーの前にこざわさんから教えてもらっていて演じたことがあります。そのときは質問する所までは良かったのですが、その後どのような演出で当てれば良いのかわかりませんでした。今回実演を見てその謎は深まりました。2人目まではいいのですが、その後どうしてもわちゃわちゃってしちゃいますね。その辺りはまだまだ詰める余地がありそうです。



レクチャー後の打ち上げではこざわさんのものではないマジックをいくつか見せていただきました。沢さんのピアノトリックが見られたのは感動ものです。チェスの駒を使ったマジックも賢いなぁと感心しながら見てました。そういえばこざわさんが観客の反応が薄かったことを気にしてましたが、仙台の固定メンバーはだいたい毎回こんな感じです。おそらくみんな心の中では盛り上がってると思うのですが、あんまり反応に出ないんですよね。L&Lの観客の爪の垢を煎じて飲みたい、もとい飲ませたいです。ということで全然気にしなくて大丈夫です。僕も本調子でなかったので反応最悪でしたし、打ち上げでお酒を一緒に楽しめなかったのは非常に心残りです。機会があったら是非また仙台にお越しください。

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KAYFABE感想

Disk1からDisk4まで観た後でもう一度全ての演技を見たくなる。そんなMax MavenのDVD――KAYFABEの感想です。

全編mental magicで、シンプルで味わい深い現象、分かり易く魅力的なプレゼンテーション、立ち居振る舞い、巧みなアドリブなどそのクオリティの高さは言うまでもありません。

内容はDisk順に、道具をほとんど使わないステージマジック、即席で行われるカード当て、どちらにも属さないもの、マジックについての考えの独白及び氏のドキュメンタリー番組の映像です。

4巻のマジックについての独白を見ればきっと全ての演技を見直したくなるはずです。
独白は「マジックとパズルの違いは曖昧で共に原点はmysteryである。Mysteryは人生で非常に大事なもので、その中でも私は味わうべきmysteryを扱う(mysteryという言葉自体もMax Maven自身の考えるところを正確に言い当てているわけではない)。
(中略)しかし20世紀のマジシャン達はマジックに本来備わっている深みをなくしてつまらないものにしてしまった。(要約)」といった話から始まりマジックの目指すべきところや存在意義、単なるトリックとマジックの違い、マジックだけが持つ固有のものなどついて語られます。

それら踏まえて2周目を見ると、トリック以外の部分――根底で共通するテーマ、練りきられたプレゼンテーション、現象への深い理解など――でのMax Mavenの良さ、素晴らしさが見え始めてきます。

あるマジックでそのプレゼンテーション力に感銘を受けました。そのマジックでは「デックから観客の選んだカードが消失する」という部分があります。一般的には「全てのカードを1枚ずつ見せて、51枚しかないし観客のカードは見当たらなかった。だから消えている。」などと示しますがMax Mavenはもっとシンプルな別の方法で、それどころか何が起こったか観客に説明することすらなしで、100人いる観客全員に「デックの中からたった1枚のカードが消失した」こと理解させて場をざわつかせます。

上のマジックでは「最後にはここにいるみんなが凄いことが起こったと驚くはず。でも正しい理由で驚いてほしい。私が手を素早く動かした結果と言われたくない。」という台詞が登場します。Vernonの「混乱はマジックではない」のよくわからなかった部分に綺麗に嵌りようやく腑に落ち感動しましたが、その考え方はこの手順に限った話でなく収録されているすべてのマジックに使われています。それも「マジシャンは観客の知らない種を知っていて単にそれを実行しただけだ」というものではなく「Max Mavenが本来あり得ないことを実行して見せた」という雰囲気で。

実際DVD内でマジシャンなら誰もが知ってる筈のマジックに騙されました。「どうやってるのか意味不明だけれどMax Mavenならガチで起こしてるのかもしれない。起きちゃってるし。」と考えたマジックは知っている――やられても絶対引っかからない自信のあるものでした。解説のないもので、3回目見たときにようやく自分が完全に欺かれていたことに気づきました。この得も言われぬ感情は一体。

それとは別のマジック、Challenge Locationというのでしょうか、3人にカードを覚えさせてそれを当てていく手順があります。1人目のカードはいくつか質問をしつつ、観客の反応を探って読み取ります(注)。2人目のカードも読み取りますがこちらは一切質問なしで読み取ります。
1枚のカード当てで「思い浮かべたカードを読み取って一切質問なしで当ててみせる」なんて演出を取ったものなら「カードを特定できる種があるんだ」となって終わるところですがこの手順の場合1人目の当て方のおかげで2人目の際「質問はしたくない。赤か黒かなどは尋ねない」と言っても1枚のときのような嘘っぽさがかなり緩和されます。(情報を探り出していっている様子や「質問は~」と言うタイミングなどはDVDでご確認ください。尚1人目2人目はともに「かなりの枚数の中から自由に1枚見て覚えるだけ」という選択方法でカードを選んでいます。)
手順に戻って3人目、3人目は手順の1番初めにカードを1枚取って誰にも表を見せずにお尻の下に敷いています。「最後はこの誰も知らないカードまでも当ててみせよう」と来るのかと思っていたのですが、Max Mavenは「どのカードか私には分からない。そもそも決めてない。知らないまま上に座っている。これでは無理だ。こうしよう、後ろを向くので……」と観客のカードを読み取るというプレゼンテーションを貫きます。少し考えましたが確かに前者だと問題が発生しますね。
(注)便宜上「読み取る」と書きましたがMax Mavenは「読み取る」などとは明言はしていません。



単にレパートリーを増やしたいだけなら全くお勧めできません。ただし、プロフェッショナルな演技(しかも日本語字幕付き)やマジックについての考えに興味のある人、「単に種を隠して見せるトリックを魅力あるマジックに変えていきたい」と考えている人には強くお勧めできます。買いましょう。(念のため補足しますが解説は充実しておりトリックも適切な手法が適切に組み合わされていて堅実です。当然高い能力が求められるものもありますが。個人的に3巻のマジックが良く刺さりました。)

僕自身も自分が成長するたび、DVDを見るたびに新たな発見がある筈なのでこれからも繰り返し見ていくことになると思います。
2時間のステージショー、いつか見てみたいものですね。
以上砂糖水でした。

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