fc2ブログ
   
02
:
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
   

セリフ選びのきほんのん

Tです。

1年生のみなさんは学祭に向けて、自分がどういう手品をするか、どんなセリフでやるべきか悩んでいるところだと思います。大いに悩みましょう。じっさい、いざ人前でやってみるのは楽しいものです。はやいとこ、この味をしめてもらって、手品沼にはまっていただきたいのです。ただし当然そこ(人前での演技)に至るまでの思考錯誤は必要です。このセリフ選びシリーズの記事によって、その手伝いができればよいと思っています。

さて、ここからは前回の記事でいうところの『マジック部分』にしぼって、書き方のヒントをお教えします。

この記事は、オレンジ君が「きほんのき」で書いてくれたことを掘り下げる内容になります。もう一度先の記事に戻って読み直してみてもいいかもしれません。あの記事では、「自分が何をやろうとしているか理解すること」「一貫性」の重要さを訴えていました。
一貫性を保つにはどうすべきか? それはゴールから逆算して考える、ということです。

結論から言って手品のセリフは、ある一点をゴールに据えて、そこめがけて語られていきます。そのゴールとは、言わずもがな、『現象』です。何が起きるのか? ということをまず念頭に置くと、逆算的にしゃべるべきことが導かれてきます。「自分が何をしようとしているか理解する」のはそのためです。

ここで場合分けが発生します。「演者はその現象が起きることを知っているのかどうか?」です。これによってセリフや演技に大幅な差が生まれますが、「どんな現象が起きるのか知らない場合」というのは「きほんのん」というより「おうようのお」みたいな気がするので今回は省きましょう。ただしサカートリックを演じる場合はこういうことに気を払わなければいけない(かもしれない)、ということも念頭に置いてください。

さて、手品の現象というのは「○○なのに、××」という構文(?)で考えることができます。例えばトライアンフの不思議さは「裏表ぐちゃぐちゃに混ぜたはずなのに、揃った」というところにあるし、アンビシャスカードなら「カードを中に差し込んだはずなのに一番上から出てきた」、ということになります。ほかにカラーチェンジやバニッシュ(消失)などの現象は、ふつうカードやコインはたちどころに消えたり変化したりしない、という自明な一般常識が前半部分(○○なのに)に入ります。

この前半と後半の対比が鮮やかであればあるほど驚きや不思議さが生まれてきます。そのうえで、「現象を見据えて語られるセリフ」というのはつまり、「○○なのに」という前提をきちんと理解してもらうことだとも言えるでしょう。途中の状況がどうなっているかをお客さんが集中していないと、結果が分かっても驚くべきポイントが分かりにくいはずです。

抽象的な説明だと分かりづらいので、具体例として「ジェミニ・ツインズ」を考えます。1年生のかたは双子のあれ、とか言った方が通じるかもしれません。2種類のメイトカード(ペア)が揃ってしまう、上手く演じるとお客さんの反応もよい名作です。

ところで、現象に至るまでの手品の「作業」というのは……文字通り、単なる「作業」です。この「作業」は本当なら大して面白くもないし、いつまで続くか分からない行為をとつぜん見せられても興味が持てないのは当然です。まず最初に、「どういう結果が起きるのか、何をやろうとしているのかほのめかす」ということをしましょう。

ジェミニ・ツインズはいろいろな演出が考えられるので、セリフも様々な場合がありますが、例えばこんなのはどうでしょう。

「今日はお客さんに手伝っていただく手品をいくつかやろうと思っています。ですからまずは、お客さんの勘が鋭いかどうか、私との相性がいいかどうかをトランプを使って確かめてみましょう。この実験が成功したら、今日の手品はうまくいきそうな気がします」

先にこう言っておくだけで、お客さんの興味や関心が変わってくるでしょう。

サーストンの三原則(ここテストに出るよ!)で、「現象を先に言うな」という教えがあります。そのものずばり起きることを説明してしまうと、意外性は消えてしまって面白くありません。しかし、ほんの少しだけほのめかすことは有効です。むしろそれをまったく省いてしまうと、何を見せられているのか理解できずに場合によってはお客さんがいら立ってしまうかもしれません。何をしたいのか、大まかに言っておきましょう。

さて、実演に入りました。ジェミニ・ツインズで観客に理解させなければならない前提は、だいたい2つと言っていいでしょう。「よく混ぜられたばらばらなカードであること」「観客は自由な位置でストップをかけた(そこに表向きでカードを差し込んだ)こと」です。

これを、どの段階でどれくらい伝えるべきなのか、というさじ加減がまた難しいのですが、それはもはや記事で伝えきれる技術ではありません。もちろん、学祭指導のときに具体的な実践を通して、上級生が優しく丁寧に(たぶん)教えてくれると思うので安心してください。また、手品を演じ慣れてくると、このへんの感覚が自然に育まれてきます。

もちろん、手品を演じながら、どういうことを観客に伝えておくべきか考えてその場で適当に喋る、という技術は手品を始めたてのみなさんには無理のある話です。ですから、とりあえずセリフを書きましょう。書きながら、「ゴールはどこにあるのか」をきちんと理解して、「そのゴールを見据えて伝えておかなければならない前提」は何か考えてみて下さい。先の例で言うと、ジェミニ・ツインズなら「ばらばらなカードであること」「自由な位置でストップをかけたこと」はきちんと言わなきゃな、というところを押さえてほしいのです。そこまでたどり着けたら少なくとも、友達に見せるには十分なレベルには達している……かも、しれません。

ちなみに、この「前提」を確認するセリフを強調していくと、それは次第に、どのような現象が起きるか――つまり結末の「ほのめかし」のようなものに接近していく、ということだけ指摘しておきましょう。ジェミニ・ツインズのクライマックス、2枚の裏向きのカードをさあ表向きにしようというところで、「このトランプは最初に混ぜてもらったのでバラバラですよね? どこでストップされてもおかしくなかったわけです。お客さんも、特に深い意味はなく、なんとなくあのタイミングでストップしただけのはずです。ですから、この(手に持った)カードの組み合わせは、ふつうなら、全然ばらばらでおかしくないですよね」と言ったら、それはもはや反語的にクライマックスを説明しているようなものです。頭の回転が鈍い人を除けば、たいていどんな結末が待ち構えているか想像がつくでしょう。

演技のテンポも考え、どれだけの情報を与え、どれだけの結末を予感させるか……というところまで逐一考えられるようになったら一人前と言えるかもしれませんが、そこまでは求めません。先にも言ったように、とりあえずこの記事の中身を踏まえてセリフを書いてみたら、ちょっとは筆も進みやすいんじゃないかと思います。

結論:まあ、とりあえず、台本を書きましょう。話はそれからだ。

これで「きほん」三部作は終わったので、どなたか「応用のお」を書いてくださるんですよね? 演出にまつわる話とか知りたいです!
スポンサーサイト



Secret

プロフィール

黒魔道会OB

Author:黒魔道会OB

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード

QR

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる