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一口レビュー:ten little tricks

『ten little tricks』のレビューです。

作者のこざわさんには何度かレクチャーノートを書く際にお世話になりました。とにかく読み物としての面白さが際立ってます。内容はパズルや数学的原理、慣用句などマジック以外から着想を得たユニークなものが多く、演じてみたいと思わされました。また、クリエイター気質な人にとっては創作のヒントが随所に散りばめられているので非常に参考になると思います。あとがきに書いてある手塚治虫さんの話はサークルブログでも何度か話題に上がったのですが、マジック以外から着想を得るというのは今後のマジック創作の一大テーマになると僕は確信しています。

それでは作品ごとのレビューを


1: Counterfeit

天秤パズルを題材にしたカード当て。
これは発想の勝利という言葉がふさわしい作品でしょう。
知人とも「トリックとしてはつまらないのに、マジックとしてはめっちゃ面白い」という褒めているのか貶しているのかわからない会話をしましたが、そういうことです。


2: Ambitious Royals

2枚のカードが上がってくるアンビシャスカード。
根幹となる原理はRyukaさんのJKサンドの方がよりダイレクトでない使い方をしていて好みです。2枚入れて2枚上がることに意味を持たせられれば良いのですがなかなか上手い演出が思いつきません。


3: Magician vs. Gambler vs. Mathematician

数学者とギャンブラーとマジシャンがそれぞれモンテをやったらどうなるかという作品。
素晴らしいの一言に尽きます。途中で2アヘッドになるのでマジシャンも初見はえっ!?となると思います。すり替えの方法はデックと接触させたくないので、普通に膝の上に用意しておいて交換するのが良いと思います。


4: Hide a Leaf

「葉を隠すなら森の中」という慣用句をテーマにしたマジック。
発想が面白いです。手法はゴリゴリ押していく感じなので、もう少しスマートな解決法ができたら演じてみたいと思う作品です(今のところ思い付いていませんが)。


5: Process of Elimination

ビドルトリックです。
ビドルトリックですと書きましたがこれすごい良いです。どれくらい良いかと言うとビドルトリックやる気なかった僕がレパートリーに入れようと思ったくらい良いです。余禄では「デックを半分だけ持つ理由付け」に対する回答と書いてあるのですが、個人的にはそれ以上に「5枚の不確定要素を抽出する説得力」を感じました。演者が5枚のカードを選ぶところがどうしても恣意的に見えてしまい、「演者がたまたま選んだ5枚の中に選ばれたカードあるということは、もう演者は選んだカードが何かわかっているとしか思えない(すっと当てればいいのに)」といつも思っていたので、この解決法は素晴らしいです。消去法で当てるというくだりも好きです。サークルで見せたら何人かに「は?」って言われましたが好きです。


6: Six Card Brainwave

エイトカードブレインウェーブの改案。
完成度は高いと思います。初心者向けに教えるときに使えそうです。マジオンのレビューで物足りないと言われているように何か足りない気がするのですが、それがなんなのかよくわかりません。これ以上足すものも引くものもない気がするのでプロット上の限界なのかもしれません。


7: Subliminal Effect

サブリミナル効果を使った一致現象。
手法はシンプル一直線で、演出が光る作品です。裏側が凝っていればいるほど燃えるタイプなのでこれはそこまで食指は動きませんでした。悪いのは作品ではなくて僕です。許してください。


8: Following

フォローザリーダーです。
ハンドリングの完成度が高い作品。この現象を演じたい人にはおすすめです。

他の方の『ten little tricks』のレビューでフォローザリーダーはあまり人気がないというのを見かけました。確かに僕もそこまで惹かれるプロットではないなと思い、何故なのか考える良いきっかけになりました。それに対する現状の僕の考えをここにまとめておきます。

まず僕はマジックには楽しさか嬉しさのどちらかの付加価値が必要だと思っています。ではフォローザリーダーは楽しいかと問われると、そこまで楽しくないかなと。というのも赤と黒を入れ替えても入れ替わらないという現象を何度も繰り返すだけですから、最初は楽しいかもしれませんが徐々に飽きてくるのも頷けます。佐藤総さんは“Acrobat Leader”の中で、一度入れ替わらなかったカードをもう一度入れ替えても入れ替わらないという意外性のある現象を入れてこの問題を解決しています(個人的にはラストもオフビートをうまく使って意外性を演出していると思います)。“Acrobat Leader”が他の作品と比べて群を抜いて評価が高いのはこのあたりが要因だと思われます。

次に嬉しさですが、まず嬉しさとはなんなのかという話から。嬉しさとは演者もしくは観客が嬉しいかどうかです(基本的には演者で考えて問題ないと思います)。例えば単純な話、カードを当てるのはカードが当たったら演者が嬉しいから当てるわけです(マイザーズドリームとかの方がわかりやすいかもしれません)。ではフォローザリーダーに嬉しさはあるのかと問われると、現状はそこまでないかなと思います。赤と黒が入れ替えても入れ替わらなかったからといって特に嬉しくはないでしょう。ただこれは演出で解決できるのではないかと思います。例えば入れ替えてはならない2つのものが存在して、間違って入れ替えてしまったけど大丈夫みたいな感じです。まだ僕はピンとくる題材を見つけられてないのですが、この考え方はフォローザリーダーというプロットの新たな創作ポイントになるかもしれません。

とまぁ色々書きましたが、この現象を起こす作品としてはシンプルでディセプティブなので初心者にも勧められると思いました。


9: Red Ocean & Blue Ocean

2色のカードを使ったカードアクロス。
こじらせたマニア向けと書いてありますがそこまででもないと思います。初心者が2色のデックを揃える日が来たら教えても良いレベルかなと(もちろん個人差はあります)。


10: A Tale of Ten Travelers

「宿屋のパラドックス」を題材にしたトリック。
マーチン・ガードナーの本は読んだはずなのですがなぜか忘れてました。手順はお手軽で良いと思います。ただ余禄に載っていたカードとコインを使うやつの方が見た目よろしそうだなと思いました。でもやるならこざわさんの手順になるでしょうというくらいお手軽です。


Appendix A: Ideal & Reality Deck

結婚式で演じるマジックのアイデア。
機会があればやります(機会があるとは言っていない)。結婚式のときに披露するマジックというとアニバーサリーワルツなどが挙げられますが、僕はこちらのアイデアの方が好みです。アニバーサリーワルツでは選んだカード=新郎新婦に例えられることが多いと思うのですが、個人的にカードを人に例えるのが苦手なのです。このアイデアではカード=新郎新婦が選んだ理想のものに例えられるので、だいぶ例えがマイルドで使いやすくなっていると思います。


Appendix B: Two-person Zero-sum Game

「二人零和有限確定完全情報ゲーム」に関するとある原理の紹介。
もう書いただけで頭良さそうな感じがにじみ出てて良いです。このまま演じるのは原理の使い方が直接的過ぎてあれかなと僕は思いました。もうワンアイデア欲しいところです。天啓が来るのを待ちます。


Appendix C: The Gift of the Magician

小物をプレゼントしたいときのアイデア。
これはあれです。一種のアンチテジナですね。まさかうちのサークル以外にも使い手がいたとは。



僕は好き嫌いが激しいタイプで、作品集買うとレパートリーが一つ増えるかどうかといったところなのですが、『ten little tricks』では3、4個やりたいマジックが見つかったので満足しています。僕も似たような発想で創作をすることが多いので相性が良かったのかもしれません。今後の作品にも期待しています。
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